近年、太陽光発電による売電は、個人・企業を問わず注目を集めています。自家消費だけでなく、発電した電力を電力会社に売ることで収益化できる点が魅力で、環境意識の高まりも後押ししています。
しかし、売電を始めるには仕組みや手続きを正しく理解していなければいけません。特に、固定価格買取制度(FIT制度)の終了後にどのように対応するかは、多くの発電オーナーにとって重要な課題となるでしょう。
この記事では、太陽光発電の売電価格や高く売るポイント、価格が低下した際の対策について解説していきます。
なお、以下では、関東エリアで太陽光パネルを設置しているおすすめの施工業者をまとめているので、参考にしてください。
2025年度(令和7年度)の売電価格

2025年度の売電価格は、以下のようになっています。
設置容量 | 期間 | 売電価格 |
10kW未満 | 10年間 | 15円/kWh |
10kW~50kW未満(屋根設置型) | 20年間 | 11.5円/kWh |
10kW~50kW未満(地上設置型) | 20年間 | 10円/kWh |
住宅用(10kW未満)の場合、FIT制度に基づき上半期は15円/kWh(税込)で10年間の買取が保証されます。下半期(10月~3月)からは初期投資支援スキームが導入され、最初の4年間は24円/kWh、その後の6年間は8.3円/kWhとなります。
事業用(10kW以上50kW未満)の場合、上半期は地上設置型で10円/kWh、屋根設置型で11.5円/kWhです。
下半期からは、屋根設置型に対して初期投資支援スキームが適用され、最初の5年間は19円/kWh、その後の15年間は8.3円/kWhとなります。なお、地上設置型の価格は下半期に9.9円/kWhへと微減します。
太陽光発電の売電制度とは?

太陽光発電の売電制度とは、再生可能エネルギーの普及を目的として設けられた仕組みです。発電した電力を一定期間、国が定めた価格で電力会社が買い取ることが義務付けられており、以下のように買取期間が設定されています。
- 住宅用(10kW未満):10年間
- 事業用(10kW以上):20年間
太陽光発電の売電制度は、再生可能エネルギーの導入を促進し、発電者にとっても安定した収益を得る手段として機能しています。以下では、太陽光発電の売電制度の中核を担う制度であるFIT制度・FIP制度について解説していきます。
FIT制度

FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的として2012年に導入されました。太陽光発電などで生み出された電力を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務付けています。
買取価格は年度ごとに見直され、設備の設置時期や容量によって異なります。FIT制度では、買取期間終了後は「卒FIT」となり、固定価格での買取が終了します。その後の対応としては、自家消費の拡大や、新たな買取契約の締結などが考えられます。
FIP制度

FIP制度(Feed-in Premium)は、再生可能エネルギーの発電事業者が市場で電力を販売する際に、売電価格に一定のプレミアムを上乗せする仕組みです。FIT制度とは異なり、市場価格に連動した収益を得ることが可能となります。
FIP制度では、基準価格と市場価格の差額がプレミアムとして支払われます。これにより、発電事業者は市場価格の変動に対応しながら、安定した収益を確保することが可能です。
一方で、FIP制度では発電計画と実績の差異によるインバランス料金が発生するため、発電量の調整が必要となります。発電事業者は、市場価格変動およびインバランスリスクの管理に注意を払う必要があります。
太陽光発電の売電方式

太陽光発電の売電方式として、以下の2つが代表的です。
それぞれの方式について解説していきます。
余剰売電

余剰売電とは、太陽光発電によって作られた電力のうち、自家消費で使い切れなかった分だけを電力会社に売る仕組みを指します。主に住宅用の小規模発電設備に採用されており、消費しきれなかった電力を無駄にせず収益化できる点が特徴です。
売電価格は、FIT制度に基づき国が定める単価で保証されるため、初期投資回収の目途が立てやすいメリットがあります。
余剰売電を行うには、電力会社との契約締結や系統連系に関する手続きが必要です。自家消費分が多い家庭ほど売電量は減少するため、発電量と使用電力量のバランスを検討することが重要となります。
全量売電

全量売電とは、発電した電力をすべて電力会社に売却する仕組みを指します。主に10kW以上の産業用太陽光発電設備に適用され、発電した電力を自家消費せず、すべて系統に供給することで安定した収益が見込めます。
FIT制度により、契約時に決まった価格で一定期間売電を続けられるため、初期投資回収の計画が立てやすいのが特徴です。
特に、設置面積を広く確保できる事業者や土地所有者にとっては、効率的な運用手段となるでしょう。なお、契約期間満了後は、FIP制度への移行や電力会社との個別契約による売電の検討が必要です。
FIT制度の申請方法

現時点で太陽光発電を売電する場合、FIT制度を活用する必要があります。FIT制度の申請方法は、以下の2つです。
それぞれの申請方法について解説していきます。
系統連系申請(接続申請)

系統連系申請とは、発電した電力を電力会社の送電網に接続するための手続きであり、売電を実現するために必要です。発電事業者は設置予定地の管轄電力会社に対し、設備の仕様書や設置計画書などを提出し、技術的な接続可否の審査を受けます。
審査には、送電網の容量確認や、接続に伴う設備増設の有無などが含まれ、結果によっては追加費用が発生する場合もあります。審査通過後、正式な接続契約を締結することで、売電を開始できる状態となります。
申請から接続完了までは数か月を要するため、余裕を持って準備を進めましょう。
事業認定申請

もう1つの申請方法である事業認定申請は、発電設備の設置前に経済産業省へ提出し、事業計画の認定を受けることで、売電価格や期間が保証されます。
申請は再生可能エネルギー電子申請サイトから行い、発電設備の出力や接続契約の情報などを入力します。必要書類としては、以下の書類が提出を求められます。
- 接続同意書
- 設置場所の権利を証明する書類
- 構造図・配線図
申請後は設置者が承諾コードを入力し、申請内容を確認・承諾することで審査が開始されます。申請から認定までには3~6か月以上かかる場合があり、電力会社との接続契約を事前に締結しておく必要があります。
売電収益を最大化するポイント

太陽光発電の売電においては、以下のポイントを押さえることで、収益の最大化が期待できます。
それぞれのポイントについて解説していきます。
パネル・パワコンの最適な運用

太陽光発電による売電収益を最大化するには、パネルとパワコンを最適な方法で運用することが不可欠です。
パネルは発電量の基礎となるため、設置角度や方位を日照条件に合わせて調整することが重要です。また、定期的な清掃を行い、汚れや影による発電量の低下を防ぐ必要があります。
パワコンについても、効率の高い機種を選定し、適切な容量を設定することで変換ロスを最小限に抑えられます。パワコンには耐用年数があり、劣化すると効率が低下するため、適切なタイミングでの点検や交換も必要です。
両者の性能を最大限に引き出すことで、安定した売電収益を実現できます。
買取価格の見直し

太陽光発電における売電では、買取価格の見直しが必要です。FIT制度の期間終了後は、既存の契約条件に縛られず、より高条件での売電先を自由に選択できるようになります。
このタイミングで、電力会社各社の新たな買取プランや、卸電力市場を通じた売電方法などを比較検討することで、収益を向上できる可能性があります。再エネ価値を評価するプランや、プレミアム価格を設定する電力会社では、高単価での売電が期待できます。
売電先の見直しは一度きりではなく、契約更新のたびに最適な条件を探るようにしましょう。
時間帯別・市場連動型の売電

売電収益を最大化する方法の1つに、時間帯別・市場連動型の売電があります。これは、変動する市場価格に合わせて電力を売る仕組みであり、FIP制度に適合する売電戦略とされています。
たとえば、日中の電力需要が高まる時間帯に売電することで、高価格帯での売電収益を狙うことが可能です。また、蓄電池を併用することで、発電した電力を価格が高騰する時間帯まで貯めておき、有利なタイミングで放電・売電する運用も有効です。
市場連動型の売電は、FIT制度のように固定価格で安定収益を得る仕組みとは異なり、市場動向を予測しながら運用するため、一定の知識と管理能力が求められます。
PPA(電力販売契約)やVPP(仮想発電所)を活用する

太陽光発電による売電収益を上げるには、PPA(電力販売契約)やVPP(仮想発電所)の活用も有効です。
PPAとは、発電事業者が発電した電力を、特定の需要家に長期契約で直接販売する仕組みです。市場価格に左右されず、安定した収益を得やすい特徴が挙げられます。
一方、VPPは複数の発電設備や蓄電池をネットワーク化し、あたかも一つの大規模な発電所のように運用する技術です。需給調整市場への参加によって、新たな収益機会を創出できます。
FIP制度下では、市場価格に応じた売電戦略が求められるため、これらのスキームを活用することで、リスクを抑えつつ収益力を高めることが可能です。
自家消費による節約を徹底する

太陽光発電による売電収益を最大化するには、発電した電力をできる限り自家消費する意識が大切です。自家消費を徹底することで、電力会社から購入する電力量を減らし、電気代の節約につながります。
売電価格よりも購入電力単価の方が高い現状では、自家消費の割合を高める方が経済的なメリットは大きくなります。
自家消費量を増やすには、昼間の発電時間帯に合わせて家電製品を使用する、エコキュートや蓄電池を活用するなどの工夫が求められます。蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電力を夜間に利用できるため、より効率的な自家消費が可能です。
太陽光発電の売電価格の動向予測

2025年度の太陽光発電における売電価格は、前年から1円の減少となっています。売電価格の下落傾向には、以下のような背景が考えられます。
- 太陽光発電システムの導入コストの低下
- 再エネ賦課金の抑制を目的とした政策変更
また、再生可能エネルギーの普及に伴い、市場価格に連動したFIP制度の導入も進められており、今後の売電価格は変動する可能性があります。
今後の売電価格の動向は、政策や市場環境の変化により影響を受けるため、最新の情報を常に把握し、適切な対策を講じることが求められます。特に、FIT制度の買取期間終了後の対応や、FIP制度への移行に関する情報収集が不可欠です。
売電価格の低下に有効な対策

売電価格が低下した場合、事業者としては以下の対策が有効です。
それぞれの対策について解説していきます。
自家消費量を増やす

売電価格の低下に対応する対策として有効なのが、自家消費量を増やすことです。売電価格が年々下がる一方で、電力会社から購入する電気料金は上昇傾向にあるため、発電した電力を自ら使用する方が経済的なメリットを得やすくなっています。
昼間に太陽光発電で得た電力を積極的に活用し、エアコンや洗濯機、食洗機などの稼働を日中にシフトすることで、自家消費率を高めることが可能です。
また、蓄電池を導入すれば、発電した電力を夜間にも利用できるため、さらに購入電力量を抑えられます。これにより、売電単価の低下による影響を最小限に抑えつつ、電気代の節約効果を最大化できるでしょう。
補助金制度を活用する

太陽光発電の売電価格が年々低下する中、補助金制度の活用は収益性を維持する有効な手段です。2025年度も、国や地方自治体による多様な補助金が提供されており、初期投資の負担軽減に寄与しています。
法人向けには以下のような制度があり、太陽光発電設備や蓄電池の導入費用を一部補助しています。
- ストレージパリティ補助金(環境省)
- 需要家主導型太陽光発電導入促進補助金(経済産業省)
個人向けでは東京都が、新築住宅に対して1kWあたり10万円、既存住宅には12万円の補助金を支給する制度を開始しています。蓄電池の導入に対しても、国の「DR補助金」や地方自治体の独自制度が存在し、補助が受けられる場合があります。
これらの補助金は申請期間や条件が異なるため、最新の情報を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。
長寿命の太陽光パネルを選ぶ

売電価格の低下に対しては、長寿命の太陽光パネルを選ぶのが効果的です。耐久性に優れたパネルを採用することで、長期間にわたり安定した発電量を維持でき、売電収益を確保しやすくなります。
一般的なパネルの寿命は25年程度とされていますが、性能保証が30年以上ある製品を選ぶことで、FIT制度終了後も収益を継続できる可能性が高まります。
長寿命パネルは劣化速度が緩やかであり、設置から20年経過しても高い出力を維持できるため、コストの低減にも寄与します。初期投資だけでなく、長期的な視点でみても、太陽光パネルの寿命が長いことに越したことはありません。
FIP制度に移行する

FIP制度を活用することで、発電事業者は市場価格が高騰する時間帯に売電を行い、高い収益を得ることが可能となります。また、蓄電池を併用することで、発電した電力を需要の高い時間帯に供給し、収益の最大化が目指せます。
さらに、FIP制度では非化石価値が発電事業者に帰属するため、再エネ証書として取引することが可能となり、追加の収益源となります。
今後、太陽光発電の売電収益を最大化するためには、FIP制度への移行を含めた多角的な戦略が求められるでしょう。市場動向を注視しながら対応を行うことで、安定した収益確保が可能となります。
神奈川県で太陽光発電の売電におすすめの業者3選

最後に、神奈川県で太陽光発電の売電に対応した太陽光発電の販売・施工業者を3つ紹介します。
それぞれの業者について解説していきます。
みらいソリューション株式会社

神奈川県で太陽光発電の売電を検討する際、みらいソリューション株式会社は信頼できる会社として検討するべきです。
項目 | 詳細 |
会社名 | みらいソリューション株式会社 |
所在地 | 〒336-0931 埼玉県さいたま市緑区原山1-2-1 |
電話番号 | 048-764-8969 |
公式HP | https://miraisolution-hiroto.com/ |
同社は神奈川県全域でサービスを展開しており、横浜市・川崎市・横須賀市などで多数の施工実績を有しています。同社の特徴は、初期費用を抑えた「初期費用0円プラン」の提供にあります。
太陽光発電の導入時の経済的負担を軽減し、売電収益を活用した資金計画が可能となります 。また、補助金制度に精通したスタッフが在籍しており、補助金申請の手続きもサポートしています。
さらに、定期的な点検や迅速なトラブル対応など、充実したアフターサービスを提供しており、長期的な安心感を提供しています。神奈川県で太陽光発電の導入を検討されている方は、みらいソリューション株式会社のサービスに相談してみてください。
みらいソリューション株式会社について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて御覧ください。
みらいソリューション株式会社についてさらに詳しく知りたい方は公式HPでも確認できます。
株式会社日本エコシステム

株式会社日本エコシステムは1997年の創業以来、全国で4万5,000棟以上の施工実績を持ち、神奈川県内でも多くの導入事例がある会社です。
項目 | 詳細 |
会社名 | 株式会社日本エコシステム |
所在地 | 〒279-0002 千葉県浦安市北栄4-8-3 コムシス浦安ビル4F |
電話番号 | 047-709-3516 |
公式HP | https://www.j-ecosystem.co.jp/ |
日本エコシステムが提案する屋根貸しモデル「ゼロ円太陽光発電」では、初期費用を抑えつつ、売電収益を得ることが可能です。
また、シャープやパナソニックなど複数メーカーの製品を取り扱っており、顧客のニーズに応じた最適な提案が可能です。補助金や助成金の申請サポートも行っており、初めての導入でも安心して進められます。
神奈川県で太陽光発電の売電を最大化したい方は、実績のある日本エコシステムも検討してみましょう。
株式会社日本エコシステムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて御覧ください。
株式会社サンドリア

株式会社サンドリアは1995年の創業以来、関東エリアで約10,000件の施工実績を持ち、特に東京都内では5,000件以上の導入事例があります。
項目 | 詳細 |
会社名 | 株式会社サンドリア |
所在地 | 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-9 大新ビル3F |
電話番号 | 03-5217-0330 |
公式HP | https://solar.sandoria.link/ |
太陽光発電システムの販売・施工に加え、蓄電池やエコキュートなど、エコな暮らしを実現する商品を幅広く取り扱っています。また、住宅リフォームにも対応しており、環境に優しく、家計にもやさしい生活を総合的にサポートしています。
施工は自社で一貫して行い、施工責任者・施工業者。営業担当者が一丸となって、安心安全な施工を提供しています。下請け業者を使わないため、行き違いや品質のばらつきといった心配がありません。
株式会社サンドリアについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて御覧ください。
まとめ

太陽光発電による売電は、準備と対策を徹底することで安定した収益源となります。売電価格は年々低下傾向にあるものの、自家消費の徹底やFIP制度への移行といった対策を講じることで、十分なメリットを得ることが可能です。
特に、2025年度の制度改正や市場動向を踏まえた対応が、今後の収益最大化に直結します。神奈川県での導入を検討している方は、豊富な実績を持つ施工業者への相談をおすすめします。
本記事を通じて、太陽光発電の売電について理解を深めていただければ幸いです。